貘の檻(道尾秀介)の感想

貘の檻読みました。

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ちょっと複雑でかなり重い話でしたが、面白かったです。犯人がわかるシーンで普通にびっくりしました。

 

視点の違いによる勘違いで取り返しのつかないことになるというのはやはり読んでて心にくる。

 

「シャドウ」や「龍神の雨」でも思いましたがこの作者の描く少年は純粋で健気で好きです。あまり感情がわからないという点では「スタフ」に出てきた智弥君に似てるなあとか思いました。普段何を考えているのかわからなくてもちゃんと父のことを案じているところがいいなと。

 

合間合間にでてくる夢の謎に関しては、全てが解明されるわけではないので、それでこそ「夢」だなあといった感じです。かなりホラーテイストですね。プロプラノロールを過剰に服用するとああなってしまうのでしょうか。気になって調べてみたんですけどそういう事例も報告されているそうですね。

薬は正しい用法で。

 

あと巻末の解説に結構考えさせられました。

確かに「驚きの結末」ばかりを重視した読み方をして「驚きの結末」だったか否かを小説の価値として評価したようなレビューをよくみますね。

「驚きの結末」や「ドラマティックな謎の解明」を求める気持ちは十分すぎるほどわかりますが、それだけを求めるなら小説よりもっとインスタントなコンテンツがあるわけで、わざわざ時間をかけて小説を読んでいるなら、、、と私も思います。