「神様ゲーム」(麻耶雄嵩)の感想

神様ゲーム」を読み終えて

正直とても面白かったです。ページ数も200ページ程度で読みやすい上、後半の怒涛の展開は圧倒的でした。

この話の特徴的な点は自身を「神様」だと名乗る少年、鈴木君の存在ですが、彼の言動や考え方が非常に興味深いです。「もしこの世界に神様がいるとするならこんな感じかもしれない」と読者に思わせるような描写になっています。

後半の殺人事件についての推理パートがかなり本格的でよかったです。一見完全な不可能犯罪に見える手口が解き明かされていく場面で脱帽しました。だからこそラストの「答え合わせ」にはかなり驚いてしまいました。読み返すと所々に伏線があったようです。

主人公が自力で真実に辿り着く通常の推理小説とは違い、「神様」という絶対的な存在が「真実」を押し付けてくるという不条理さがこの小説における独特の雰囲気を作り出しているのかも、と感じました。

同じ作者の他の小説も読んでみたいと思いました。